C D 評

「ブレンパワード オリジナルサウンドトラック」

VICL-60264 ビクターエンタティメント 98/08/05発売 ¥3,045(税込)


「ブレンパワード オリジナルサウンドトラック2」

VICL-60299 ビクターエンタティメント 98/??/??発売 ¥?,???(レンタルCDゆえ不明)



 98年にWOWOWで放映されていた富野由悠季氏の手によるSFロボットア

ニメの音楽CD。アニメは、まあ、氏のファンならば納得もできようが、けっこ

う高尚?な内容であるため、普通の人には「キレた登場人物」のイメージが強い

だけの作品であろう。そのあたりは興味のある方々の判断にまかせるとして、音

楽は、現在の日本アニメ作曲家では非常に風呂敷の広いレパートリーを持つ菅野

よう子氏。「マクロスプラス」「エスカフローネ」「カウボーイビバップ」「タ

ーンAガンダム」の、あのよう子姉さんだ。

 彼女はオーケストラでもヴォーカルでもシンセサイザーテクノでも「いくつ引
                          ボウゲツオウ
き出しがあるんだ?」と友人の亡月王氏が評価するように、女性ならではの繊細

で多彩で美しい作曲をする。サウンドトラック1の1曲目「Power of 

the Light」は希望にあふれる朝のお目覚めミュージックにはピッタリ

であるし、2曲目「Ark」はバグパイプをメインに持ってきた、いかにも「一

丁やったろうか成功だ輝かしい我々の勝利バンザイ!」なイギリス風味の曲であ

る。かと思えば、サウンドトラック2の2曲目「Crossing」のような、

「矢追○一USO」でナレーションとともに流れるUFO映像に使えそうな不安

なシンセミュージックをやったりと、奇妙でありながら快いBGMも作る。ヴォ

ーカルは富野氏の「これが歌詞だ!」と言わんばかりのものをオドロオドロしい

旋律でまとめてしまうし、坂本嬢を使ったエスカな曲もやる。まさに何でもでき

ますサービス満点いたれりつくせりなのだ。

 本当にピアノで作曲しているのか?と余計な詮索をしてしまうこともあるが、

それだけこの人が、いい意味で常人離れしているということなのだろう。だから

といってよう子氏自身が変わり者か、といえば・・・実際の人物像は普通の女性

であった。ちょっと、ヘニョホニョしてるけど。

 そう考えると、やはりクリエイターと呼ばれる人々は以外とラフな、あっけら

かんとしているものなのかもな・・・と、始終しかめっつらばかりで恐ろしいと

言われる自分を反省し、天津甘栗を8つ食べるのだった(さすればあなたもクリ

エイター)。とにかく、菅野よう子さんのファンならば、そしてそうでない方も

機会があったら聴いてみるといいかもしれない。原作と切りはなしても十分鑑賞

に耐えうるものだ。



 おすすめ度:音楽の趣味は人それぞれ。10点満点中私は9くらいだが、さて

           あなたは・・・?

                         愛知県 ズオウ・リアキ

(EOF)